べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」36回 『鸚鵡のけりは鴨』

寛政元年  正月に発刊した黄表紙は大評判 

恋川春町『鸚鵡返文武二道』

唐来参和『天下一面鏡海鉢』

石部琴好『黒白水鏡』(版元?)
山東京伝飛脚屋忠兵衛仮住居梅川『奇事中洲話』

寛政元年2月
吉原の本屋から出発した蔦重・耕書堂は大ヒット作品を送り出し 日本橋での地位を獲得 地本問屋の会合では、嫉妬と羨望の混じった会話が繰り広げられる。

鶴屋 「お奉行所から何か言われてきませんか?」
蔦重 「越中守さまは、黄表紙好きらしい 意外とやりたい放題かも」 お調子に乗り過ぎな感じの蔦重

「寛政元年の初め、幕府建て直しのため、筆頭老中・定信は黄表紙を読む暇のない程、お忙しかったのでありました」九郎助稲荷

真面目でキッチリ型の定信はキリキリ舞だったのでしょう
ここのところこれぞと見込んだ者が、お役目を引き受けてくれぬことが多い
装いは木綿の着物です

定信は水野の報告書を久しぶりに目を通すと、腹心と思っていた側用人・本多忠籌(タダカズ)が賄賂を受け取っているらしいとあった

本多忠籌との問答の末、定信は黄表紙『鸚鵡返文武二道』を差し出される

定信は『鸚鵡返文武二道』を読む そこには 定信が大真面目にうち出した文武奨励の策がことごとく空回りしている様が描かれていた。『文武二道万石通』の時は浮かれて、自分の策が理解されていると喜んでいたのでありました。

日本橋通油町に奉行所の連中が大挙して、耕書堂へやってきた。
「此の度 『鸚鵡返文武二道』『天下一面鏡梅鉢』『文武二道万石通』の三作を絶版とする」

絶版騒動の中 朋誠堂喜三二ことまーさんと恋川春町先生はどうなるのか?

喜三二は 佐竹藩の江戸家老 当主佐竹義和に呼び出されて、国元(出羽秋田藩)に戻ることとなる。(佐竹の殿様は15歳 パパは佐竹 義敦 秋田蘭画で有名 杉田玄白・解体新書の挿絵を描いた 小田野直武 平賀源内とも交友あり)
春町は、殿様が春町贔屓のため、幕府に「病気のため隠居した」と報告 当時「病気のため隠居」は藩では処罰しましたよ と言う証であった。春町は戯作を続けるつもりでいた。
直参ではない まーさんと春町先生 直参である南畝先生はどうなっているんだと気にする

南畝先生からの文 自身の身の振り方を書いてあるのかと思いきや、平秩東作が病気との知らせ、須原屋・大田南畝・蔦重三人で見舞いへいく
綺麗な歌麿の狂歌絵本を見せて また一緒に戯けようと。元気づける
「源内さんに 言っとくよ」と東作

夢枕に源内さんが出てきたのか?
日の本は100年雨に逆戻り 「俺や田沼様がやったことは一体なんだったんだ〜」と源内さんが言っているようだと須原屋

老中・松平定信に「羊羹」を差し出す 大崎 まさか毒入りじゃないですよね
大崎って今、なんのお役目なの???大奥の人であれば 老中にお茶を出す??? 

寛政元年5月 東蝦夷地でクナシリ・メナシの戦いが起こる。蝦夷の民が和人による非人道的扱いに耐えかねて蜂起した 松前藩主・松前道廣は冷酷・残忍な方法で即座に鎮圧した
しかし、幕府内では、今後蝦夷地をどう扱うか論議されることとなる
定信は老中若年寄を集め、意見を募るが、既に松前藩の上地は決まり事 
決定事項を治済と御三家(尾張・徳川宗睦 水戸・徳川治保 紀伊・徳川治貞)に諮問 それぞれの言い分に定信は即座に答える

最後に治済が、上地の掛りを蝦夷の交易や開墾などで行うことに それでは田沼と同じではないか?と異議を唱える
町方により『勘定所御用達』も田沼のやり方と同じ、蝦夷地も財政を立て直すために上地するとは田沼の策と同じであろう
治済「そなたは黄表紙を取り締まっているようだが」
黄表紙・恋川春町『悦贔屓蝦夷押領』を差し出した

一橋邸では治済と松前道廣が上地とならなかったことで、ホクホクな顔 
松前道廣「ありがた山の昆布からす」
質素倹約なはずなのに、松前藩主・松前道廣は豪華なお召し物 治済のおかげで 松前藩は天領にはならなかった ニヤリ

定信にとっては、田沼病を退治すべく日夜 政務に励んでいたのに、治済から田沼と変わらぬと言われて、激怒 それに加え『悦贔屓蝦夷押領』を読むと もう我慢がならなかった
実直・真面目な定信にとっては田沼と同じと言われたことは 耐え難かったに違いない
「恋川春町 倉橋格なるものを呼び出せ!」

蔦重と春町先生 今後を相談 まことに病で死んでしまって別人で生きていくことにした、春町先生 人別や隠れ屋は蔦重がなんとかしてくれる、殿には頭を下げていただく労をお願いすることになるやもしれぬと言うと
「そなたの筆が生き延びるのであれば、頭などいくらでも下げようぞ」

お怒りの定信、小島松平屋敷に来るという 殿は春町に蓄電せよと言ってくれる

喜三二が国元に戻る日が近づき 吉原で大送別会
喜三二ゆかりの人々が大集合
蔦重の一興により、皆が喜三二を盛り上げそして、引き留める作戦 

北尾重政が「文武二道万石通」を出してなを入れてほしいと 皆が名を入れてほしいと、本を手に集まってくる
2代目大文字屋「明月余剰」吉原俄の熱気
扇屋「娼妃地理記」こんな吉原案内なかった
松葉屋の女郎だった 松の井 今は年季が明けて手習女師匠「見徳一炊夢」楽しかったね〜
大田南畝 自著『菊寿草』に
歌麿 春町作 廓態費字尽(サトノハカムラムラツクシ) 
山東京伝 『北里喜之』と絵題箋の貼られた黄表紙(喜三二の次の号だという)
それぞれの黄表紙に思い出のある 喜三二 もうもう嬉しくて 皆でしめし合わせたことはわかっていたけれど、もう一度戯作を書こうという気になってきた
もう 書くしか無いではないか

「やります まーさん まだ書けます」

大送別会 喜三二は皆の調子に合わせ 戯作者を続けることを宣言 気持ちよく家路に着いたのであろう その夜 家に帰ると 春町の家から腹を切ったと知らせがあったと言う

喜三二と蔦重が春町の弔問に家を訪ねる
虫の鳴き声が聞こえます 寛政元年7月7日没(1789年8月27日)
手を合わせ、春町の妻が辞世だと 鸚鵡返文武二道の本裏を見せる
「我もまた 身はなきものと おもひしが 今はの際は さびしかり鳬」

春町の頭に豆腐のカスがついているのに気が付く蔦重

文机の横に 紙屑があるのを見て 紙屑を繋ぎ合わせる

春町が恩着せがましいかと 破り捨てた書き残し 
「例の件が抜き差しならぬこととなった。殿には蓄電せよと、仰ってくださったが、そうすれば、小島松平家 倉橋家 そして蔦重や他の皆にも塁が及ぶかも知れぬと・・・」

豆腐の角に頭をぶつけて死んだってことにしたかった
戯作者だから 真面目なクソ真面目な男だったじゃない
ふざけるのも真面目でさ
恋川春町は最後まで戯けねえと と考えたんじゃねえかな

松平信義は松平定信の屋敷に参上し 家臣・倉橋格の死を報告

腹を切り豆腐の角に頭をぶつけ なくなりました

「御公儀を謀ったこと、倉橋格として死んで詫びるべきと腹を切り、恋川春町としては死してなお世を笑わせるべきと考えたのではないかと、版元の蔦屋重三郎は申しておりました」・

「一人の至極真面目な男が、武家として、戯作者としての【分】をそれぞれわきまえ全うしたのだと、越中守様にお伝えいだたきたい。そして戯ければ腹を切らなければならぬ世とは一体誰を幸せにするのか、学もない本屋風情にはわかりかねる  と、そう申しておりました」

こんなことを仰ってくれる殿だからこそ、春町は腹を切る決心をしたのかも知れない

布団部屋で慟哭する定信

好きだった黄表紙
戯作者恋川春町を死に追いやってしまった 自分の政を正しく行うためには仕方のないことは わかっている 

布団に顔を埋めて咆哮のように絶叫

定信 何を思ったのか???

鸚鵡返文武二道 の 【けり】は 春町の辞世の【鳬】つまり鴨

今回のお題 『鸚鵡のけりは鴨』難しい・・・

 

これからどんどん辛い話になっていくんだな〜



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