悪玉善玉

1/4 宮崎あおいちゃん主演のドラマ「眩(くらら)」〜北斎の娘〜の再放送をみた

さすがの演技 何度見ても素晴らしい 北斎の娘として晩年まで描く 葛飾 応為としての生没年不詳であります

ドラマの中 街中で悪玉のお面を被る人を発見

はて? その頃に悪玉お面を被った人がいたのか?疑問に思って調べる。

悪玉のお面については、昨年末、来年の大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』宣伝のため「チコちゃんに叱られる」で山東京伝作 北尾政美画 黄表紙『心学早染草シンガクハヤソメクサ』(蔦屋重三郎刊)が紹介されました。悪玉善玉がお面をかぶって浮世絵なんぞにも登場 ほか黄表紙や浮世絵等にもたくさん登場しています

大学の先生とチコちゃんのスタッフが一緒にお面を被り 悪玉踊りをやっていらっしゃいました

「悪玉踊り」の踊り方がくわしく解説されている。黒線は動きの流れを表し、現代のダンスもびっくりの素早い動き。絵は葛飾北斎。(『踊ひとり稽古』国立国会図書館蔵)文化12年発刊

善玉(魂)、悪玉(魂)が大流行 あまりの流行に寛政の改革で禁止令が出されています

寛政の改革で禁止令が出たにも関わらず 連綿と続いていた 悪玉善玉のブーム 

ついには 「弥生の花浅草祭」天保3年初演 歌舞伎で上演されています

善玉悪玉

ぜんだまあくだま

 いまどき善玉悪玉といえば思い浮かぶのはコレステロール。悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが多いと血管がつまりやすくなり、心臓に負担をかけたり、脳梗塞を引き起こしたりするそうです。
同じように、江戸の人々は人の心には善玉と悪玉がいて、どっちが勝つかでその人が善人になるか悪人になるかが決まると考えたようです。これは山東京伝が黄表紙『心学早染草(しんがくはやそめぐさ)』で、頭がまん丸、顔の代わりに善・悪と書かれた『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじのような小人が、廓で放蕩する男の両袖を引き合うという絵を描いて大人気となったのがはじまりと見られています。

 歌舞伎舞踊『三社祭』では、その善玉悪玉が雲の中から降りてきて、隅田川に網を投げる漁師二人に入り込み、軽妙に踊ります。この漁師は檜前浜成(ひのくまのはまなり)・竹成(たけなり)という兄弟で、漁をしていて観世音菩薩像をすくいあげたという縁起に由来します。彼らの網にかかった像を、まさしく観世音様であると認め、本尊として寺を建てたのが土師真仲知(はじのまなかち)、この三人を祀ったのが三社様(浅草神社)です。浅草寺の”三つ網紋”の三つの網も、この三人を指しているといわれています。

 『三社祭』は独立した舞踊としてしばしば上演される人気作品ですが、初演の際は『弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり)』という変化舞踊の中のひとつでした。三社祭に出る山車(だし)※の人形が次々に踊る趣向となっています。『三社祭』の幕開きで、漁師二人が揃ってゆらゆらと揺れているのは、山車の上の人形が揺れているというつもりなのです。

天保の改革での厳しい取り締まりにも、関わらず 悪玉善玉は生き延びます
山東京伝が黄表紙で描いたちょっと批判めいた物から 幕府禁令に抵触することの、少ない、ただただ教訓としての悪玉善玉として描かれるようになります

歌舞伎を通じて現代にも 悪玉善玉コレステロールとして 生き続けています。



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